任意後見の契約とともに、必ず遺言書を作っておきましょう!

 皆様、お変わりありませんか。

 ブログ更新が遅くなってしまいました。

 私自身が何かと雑事に追われて、考えがまとまらない毎日でした。

 私が成年後見を担当させていただいている、被後見人さんのこれからをどのように進めていくべきか、時々思い悩みます。

 本当にご本人に一番いい方法か、ご本人が幸せなのかと。

 それとご本人に必要な諸々の申請を、失念することなく行うことが、後見人の重要な仕事でもあります。

 前回、任意後見についてお話しました。

 「これと、これ」と、自分が何をしたいかを考えて任意後見契約を結びます。

 一つ一つ契約をしておかないと、いざというときに困ります。

五月晴れにそよぐイカダカズラ

五月晴れにそよぐイカダカズラ

 先日、「死後どのようにして欲しい」と、ご自分の意志をきちんと文書にしておかなかったばかりに、その方の思いが通らなかったというお話を伺いました。

 その方は、一人で暮らしていらして親族とはほとんど交流はなく、ご兄弟もいないということで、死後のご自分の財産は、お世話になった福祉施設に寄付したいとおっしゃっていたそうです。

 ところが、その方が意識もなくなり臨終のみぎわに、突然、妹という人が現れ、「後は、私がすべてやります」ということで、結局、その妹という人が葬儀を執り行い、寄付のお話も「そんなことは、私は知らない」ということでした。

 皆さんどう思われますか?

 法律的には問題はありません。しかし、その方の「思いと意志」は、何も果たせないままですよね。

 しかも、その方が、生前一度も世話になったこともない身内に、その方の崇高かつ真摯な「思いと意志」を踏みにじられてしまったわけです。

 このような事例は他にもあります。

 ある方は、施設でずっと暮らしてきて、兄弟は一度も面会に来なかった。

 その方の面倒を見ていた人(この方は親族後見人で、亡くなった父親の親友)が先になくなり、そのときに施設にとても世話になったので、ご本人が亡くなった後の残ったお金は、施設で使って欲しいとの文書を残されました。

 これはなくなった父親の意志でもあったそうです。

 しかしそのとき、一度も会ったことの無い兄弟が出てきて、その兄弟が「お金を返せ」と言い、一歩も譲らない為、裁判となりました。

 兄弟の言い分は、ご本人に「無理やり書かせたのだろう」と。「無効だから、返せ」ということのようでした。

 裁判の結果、施設側が勝訴しました。たぶん証明が出来たものと思われます。

 証拠になるものが必要です。

 さて、自分の死後のことも、自分の思うようにやっておきたいものです。
そんなときは、やはり遺言書が必要です。

 任意後見の契約とともに、必ず遺言書を作っておくとよいでしょう。

 任意後見契約には死後事務の契約も出来ます。

 しかし相続に関しては、やはり遺言書でご自分の意志を明確にしておくのが一番です。

 ここで大切なことです。

 相続トラブルを起こさないためには、必ず自筆で、しかもお一人で一つの自筆遺言書などを作ることです。

 遺言書のタイトルは「遺言書」・自筆・日付・署名・印鑑の捺印・相続対象の精確な情報・人名の後の生年月日・封をされた封筒への署名捺印ほか、法律で定められている要件が、しっかり整っていなければなりません。

 字が汚いからとワープロで作ったらもう無効です。
却ってご本人が書いたとすぐ判るのですから、字が下手なんて大いに結構、必ず自筆で書いてください。

 遺言書の自筆が身体的理由などで出来ない方は、公証人役場にて、口頭のみで公正証書としての遺言書を作ることも出来ます。

 遺言書は公正証書にしておくのが一番ですが、そうでないときは自筆証書として封筒に入れ封をして、封筒にも、署名と自筆遺言書に使用した印鑑での捺印をしておいてください。

 自筆遺言書を開封すべきときが来ても、勝手に一人で開けてはいけません。裁判所に行って開封していただくのがよいでしょう。

 このあたりはまたの機会にお話ししましょう。

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